[本]『「分かりやすい文章」の技術―読み手を説得する18のテクニック』(藤沢晃治 著)
本書は「分かりやすい」シリーズの著者、藤沢晃治氏による第三弾です。『理科系の作文技術』の中で述べられた「字面の白さ」、「目標規定文」に近い考え方が本書にも言及されていました。また、文章に”「斜め読み耐性」をもたせる”という考え方は非常に共感しました。
インターネット広告は、テキスト広告であろうとイメージ広告であろうと、「読まれる」ことよりも「見られる」ことが多いと感じています。その意味で、一瞬の視覚ビューに耐えうる分かりやすさ(視認性を高めること)は、重要なトピックだと感じました。この本は、中高生向けに書かれたブルーバックスの本です。しかし、大学生や社会人であっても文章作法の基本書として一読には値すると思います。
※メモ※
本書の目指しているもの
「目的を達成する文章」(≒分かりやすい文章)の書き方の紹介。
「分かる」の重要な要素
:過去の記憶との一致。
「斜め読み耐性」を持たせる
- 実務文は、全文を必ず読んでくれるという前提で書いてはいけない。
- 斜め読みされたり、読むことを中途放棄されたりすることも考慮の上で書く必要がある。
- 実務文は、たとえ斜め読みされても書き手の意図が伝わらなければならない。
- 斜め読み耐性を持つ文章は頑丈で、たとえ斜め読みされても、情報を伝える。
「分かりやすい文章」を書くための5つの技術
- 構成の技術(分かりやすい文章構成で趣旨を素早く伝える)。
- レイアウトの技術(ポイントを強調した文字面で趣旨をアピールする)。
- 説得の技術(論理的な主張で読み手の同意を得る)。
- センテンスの技術(趣旨をスムーズに伝える)。
- 推敲の技術(文章をなめらかにする)。
趣旨を伝える3つのポイント
- まず重要ポイントを書き並べる。
- 要点を先に、詳細は後に書く。
- 不必要な情報を書かない。
良い構成のための最重要テクニック
- 要点を先に、詳細は後に書く。
- 結論を先に、理由は後で。
- 主張を先に、根拠は後で。
- 結果を先に、原因は後で。
レイアウトの4つのポイント
- 見やすい文字配置にする。
- 情報構造が分かるようにする。
- 「かたまり」を区別する。
- 見出しをつける。
- 文字配置で見やすくする。
- 段落の区切りをはっきりさせるために、改行だけではなく空白行の挿入する。
説得力のために必要な4つのポイント
- 正確な論理で書く。
- 読み手の視点で書く。
- 自分の感情は抑えて書く。
- 比喩を使う。
分かりやすいセンテンスにする4つのポイント
- センテンスを短くする。
- 事前分解しておく。
- 曖昧さをなくす。
- キーワードをつくる。
「が」を捨てる
逆説の「が」、順接の「が」をそれぞれ区切り、別のセンテンスにする。
読点(、)を打つ原則
- 長い修飾語の境界に打つ。
- 逆順のときに打つ。
- 誤解防止のために打つ。
キーワードを作る
斬新ではあるけれど、ちょっと複雑な主張があれば、それに短い名前、キーワードをつける。繰り返し書く必要があるからこそ、キーワードを作る。
文章の最終目標を意識する
書くときも、推敲するときも「そもそも、何も目的でこの文章を書いてるんだっけ?」と自問し続けることが大切。
語順の原則
- 強調したい修飾語を先頭に置く。
- 長い修飾語ほど前に置く。
- 概要説明の修飾語ほど前へ置く。
- 節の修飾語は句の修飾語より前に置く。
「分かりやすい文章」の技術―読み手を説得する18のテクニック (ブルーバックス)
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