[本]『借金の底なし沼で知った お金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記』(金森重樹 著)
本書、「マネー系」や「ファイナンス系」の本だろうと思って読み始めたのですが、どちらかというと「マーケティング系」だと感じました。それもそのはず、著者の金森氏が借金1億2,000万円のどん底から這い上がった方法はマーケティングであったようです(※詳細は別書にて。内容は読んでいないため分かりかねます)。本書のストーリーから、経営者として必要な「勤勉性(吸収性の高さ)」、「鈍感力(どうじなさ)」などを感じることが出来ました。
また「いかにして、危機を好機に変えるのか。そのために何を考えればいいのか」といった話が臨場感を持って具体的に描かれているため、引き込まれてすぐに読みきってしまいました。『経営センスの論理』内で語られていた経営者の「ハンズオン」ということが比較的しっくり来る方です。個人的には、とある大好きな経営者から聞いた「車の買い方」を復習できたという意味でも、良い学びとなりました。あの話っていうのは経営者ならではの共通の智恵だったんだなぁと、しみじみ。
※メモ※
人間と動物の違い
- 動物…ただ自らが置かれた環境に順応することしかできない。
- 人間…自らが置かれた環境が目的達成の足を引っ張ると考えれば、環境に働きかけて環境を変えることができる。
金持ちのベンツの買い方
不動産投資や事業投資をやっていて、節税も兼ねて車両を購入する場合には、4年落ちの車を2年ごとに購入するのがベスト。
ポイント・オブ・ノーリターン
この時点を越えた人間は回復する望みがなく、徐々に死んでいき、二度と生還することがない。相場においては、周囲の人間から借り入れを行なってまで相場を続行するようになるとおしまい。
著者が多額の借金を背負った時に理解した事実
- 人生の問題は、自分で解決しなければ誰も解決してくれない。
- 現象(毎年発生する年間600万円の金利)に対応するだけでは、問題の根本的な解決は永久にできない。
- 偶然に左右されるやり方ではこの問題は決して解決しない。
谷深ければ、山高し
巨額の借金がある人間は、その時点で既に普通の人が歩む道とは違った道を歩いているのだから、その将来は、良くも悪くも普通の人とはまるっきり違った人生となる。
著者が会社に入って初期段階で学んだこと
世の中には金持ちになるのが簡単な業種もあれば、非常に長い時間を必要としたり、膨大な社員を必要とする業種もある。
会計の知識の必要性
会計の仕組みがわからないと、事業経営というのはわかるものではない。
税理士が会社をダメにする2つのパターン
- 決算書なり試算表の数字から、会社の経営の改善のために経費削減を模索する中で税理士が「広告宣伝費を使いすぎですから削りましょう」という提案。
- 事業が拡大中で、売上が増加傾向であり、その原動力が広告宣伝によっている場合には、広告宣伝費を削ることは売上のダウンにつながり、事業は即失速する。
- 事業の立ち上げの時期には、多少赤字が出ようが何をしようが湯水のごとく広告費を注ぎ込むことが必要な時期もある。そんなときに顧客獲得コストがいくらといっている場合ではない。
- 経営が悪化した時に、「人件費を削りましょう」と言って、人件費に手を付けてしまうこと。
- 残ってほしい人間が逃げ出し、会社にとって使えない人間ばかりが残ってしまう。
- 取引業者にまで情報が漏れ、取引条件の悪化につながることもある。
経営が苦しくなった時の打開策:売上を上げること
売上を上げる方法を一番よく知っているのは経営者本人。もし、その方法がわからなくなったのなら、速やかにそれがわかる人間に経営を変わってもらうというのが一番。経費削減に走って致命傷になる前に、マーケティングに真剣に向き合う必要がある。
マンションデベロッパー業界に存在するおかしな事実
財閥系、鉄道系を除くほとんどのマンションデベロッパーは、10年でランキングTOP10から消え去り、20年ですべて潰れる。
「商売は名簿に始まり、名簿に終わる」
行けば、いつでも商品を買ってくれるお客さんを大量に抱えていることこそが、商売の要。
「看板」において考えること
「設置されている場所の街における駅やSCなどのトラフィックジェネレーターとの関係」、「近くの信号の位置」、「歩道を歩いている場合の視認性」、「車で走っている速度での視認性」、「車道を走っている時の見え方」、「土地の高低差」、「日中と夜街路灯が点灯している夜間との見え方の違い」、「色調」、「文字の大きさ」、「記載内容」、「素材」、「取り付けの高さ」、「内照式か外照式か」…etc...
マーケティングは業種を超えた技術
業種は、マーケティングが可能な業種なら何だって成立する。だから僕は業種にはこだわりはまったくない。何業でも、その業種に構造的な問題がない限り、集客を成功させる自信がある。
ヤバイ状況では寝てしまえ
絶対に助かりそうもない落とし穴に落ちてしまったら「積極的にあきらめる」こと。あきらめないと自分の限界許容量をはるかに超える大きな危機がやってきた時に対処できない。答えが見つからないと焦るよりも、寝てしまったほうがいい。絶望からは何も生まれない。朝が来て目覚めたら、気持ちを切り替えて対処すればいい。
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