[本]『理科系の作文技術』(木下是雄 著)

文章を書くために気をつけなければならないことが書かれている書籍です。著書名は「理科系の」となっていますが、文章(メール、ブログを含む)を書くことを生業としている方にはオススメできます。

特に勉強になったのは「字面の白さ」という所。たしかに、漢字の少ない文章は幼稚さを感じさせる一方で、漢字が不必要に多い文章は読みにくさを感じさせます。この点は気をつけなければと思いました。所々で時代感(※初版:1981年)を感じさせるものの、体得すべき不変の作文技術が惜しみなく紹介されています。


※メモ※

理科系の仕事の文書を書くときの心得

  • 主題について述べるとき事実と意見を十分に精選し、
  • それらを、事実と意見とを峻別しながら、順序よく、明快・簡潔に記述する。

明快に書くための心得

  • 論理の流れがはっきりしていること。
  • 一つの文と次の文との結びつきが明瞭なこと。
  • 一文書く度に、その表現が一義的に読めるかどうか――他の意味にとられる心配はないか――を吟味すること。
  • はっきり言えることはスパリと言い切り、ぼかした表現(……といったふうな、月曜日ぐらいに、……ではないかと思われる、等々)を避けること。
  • できるだけ普通の用語、日常用語を使い、またなるべく短い文で文章を構成すること。

目標規定文(≒シーセス)

主題に関してあることを主張し、または否定しようとする意思を明示した文。

ジャーナリストの定石

  • 5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのようなやり方で、したか)。
  • それが「どんなものか」を記述するときには、まずそれに似たものを探せ。次に似たものとそれとはどこが違うか考えよ。
  • ある問題を論じるときにはまず  →なにが問題なのかを明確にせよ  →それについて確実にわかっているのはどんな点かを明らかにせよ  →よくわかっていなくて、調べる必要があるのはどんな点から明らかにせよ。

理科系の仕事の文書の序論に必要なこと

  • 読者が本論を読むべきか否かを敏速・的確に判断するための材料を示すこと。
  • また本論にかかる前に必要な予備知識を読者に提供すること。

はっきり言い切る姿勢

いくらか不自然に思えても、できるかぎり明確な断定的な言い方をしたほうがいい。日本人が使いたがる「デアロウ」、「ト言ッテモヨイノデハナイカト思ワレル」「ト見テモヨイ」等々の区を英語に翻訳することはまず見込みが無い。

仕事の文書で何事かを書くのはステートすることだ。当然一字一句に責任が伴う

ステートする……明確に表現する;口頭で、または文書のなかで正式に記述する;かたちを整えて、あるいは明確なかたちで記述する。

意見の記述における原則

  • 意見の内容の書くとなる言葉が主観に依存する修飾語である場合には、基本形の頭(私は)と足(と考える、など)を省くことが許される。
  • そうでない場合には頭と足を省いてはいけない。

文は短く簡潔に

仕事の文書の文は、短く短くと心がけて書くべき。

書くべきことがオーバーフローしている状況での書くときの心得

  • まず、書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる。
  • それらを論理的にきちっとつないでいく。
  • いつでも「その文の中では何が主語か」をはっきり意識して書く。

チャーチルの言葉

「書類は、荒っぽくみえてもいいから、最も簡潔に書け」

字面の白さ

用のないところに漢語・漢字表現が多い(多すぎる)と黒くみえる。読みにくい。

受動態を能動態に

日本語の文は受動態で書くとひねくれて読みにくくなる。能動態で書くと、読みやすくなるばかりでなく、文が短くなる場合が多い。

漢字の使い方で気をつけること

漢字だけで書くことばをベタに二つ続けるのは避ける。
例)比較的少ない→比較的すくない

著者の標準記法

(A→B。原則としてAとは書かないで、Bと書く)

  • 及び→および
  • 並びに→ならびに
  • 乃至→ないし
  • 初めて→はじめて
  • 再び→ふたたび
  • 或る→ある
  • 或いは→あるいは
  • 即ち、則ち→すなわち
  • 但し→ただし
  • 然し、併し→しかし
  • 勿論→もちろん
  • 従って→したがって
  • 殊に→ことに
  • 各々→おのおの
  • 普通→ふつう
  • 沢山の→たくさんの
  • 色々の→いろいろの
  • 他の→ほかの
  • ~の通り→~のとおり
  • ~する時に→~するときに(ただし、時とともに)
  • ~である事は→~であることは(ただし、事と次第では)
  • ~と共に→~とともに
  • ~に拘らず→~にかかわらず
  • ~と言うことは→~ということは
  • 出来る→できる
  • 分る、解る→わかる
  • 行う→おこなう
  • 始める、始まる→はじめる、はじまる
  • 決める、決まる→きめる、きまる
  • 覚える→おぼえる
  • 当然と見える→当然とみえる(ただし、山が見える)
  • 我々、吾々→われわれ
  • 私達→私たち
  • 1つ、2つ→一つ、二つ、ひとつ、ふたつ(ただし2個)

本論を書く際の注意点

  • パラグラフを意識して文章を構成すること。とくに、いま買いているパラグラフのトピックは何かを常に念頭に置くこと。
  • 最初に読み下すときには理解できず、読み返してはじめてわかるような逆茂木型の文を書かぬこと。内容の並べ方に自然な流れがなく、また文のつなぎ方が唐突で読者に抵抗を感じさせるような、逆茂木型の文章を書かぬこと。
  • 飛躍のない記述をすること。
  • 含みをもたせた、ぼかした言い方を避け、できるだけはっきり言い切ること。
  • 事実と意見をはっきり区別して書くこと。特に事実の記述のなかに意見を混入させるな。
  • できるだけ短い文で文章を構成すること。
  • 文の途中で主語が入れかわったり、あるべきことば抜けていたりして<破格の文>にならないように神経を使うこと。
  • まぎれのない文を書くこと。
  • なくても済む言葉は一つも書かないように心がけること。
  • できるだけ、受動態ではなく、能動態の文を書くこと。



理科系の作文技術 (中公新書 (624))
理科系の作文技術 (中公新書 (624))

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