[映画]『風立ちぬ』(宮﨑駿 監督)

実は本作品、見るつもりはありませんでした。ジブリ作品はあまり性に合わないというか、否定的な意見を持ってしまうことの方が多く、多くのジブリファンの反感を買うことが少なくないためです(『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』などは例外なのですが、彼らからするとそれこそまさに「にわかジブリファン」らしいので、まぁ…上記のような結論に至っていました)。

では、なぜ観るに至ったかと言えば、このような話をSNS上で目にしたため、そして、そこから話題を呼び「本作は様々な解釈が可能だ」という言説が生まれていたためです。


※以下、ネタバレあり。

「面白い」「つまらない」ということはさておき、印象的だったシーンが2つ。

1つ目は、主人公の二郎が若いエンジニア達を集めて講習会のようなものを開いている所を、黒川と服部が覗きにくるシーン。その熱気にやられて、2人が「いやー面白かった」ーー「感動しました」と言いながら帰るシーン。そこに男の潔さを感じました。

そしてもう1つが、非難の対象に挙がっている例のシーン。つまり、肺結核で伏している妻、菜穂子の手を握りながらの二郎が喫煙をするシーンです。詳しく言うとこんなシーンです。仕事をしながらも一刻も早く妻に会いたくて帰ってきた二郎。それまで休んでいたにも関わらず、起き上がり二郎を迎える菜穂子。家に帰ってきたものの、その日中に仕上げなければならない仕事がある二郎。少しでも自分の近くで仕事をして欲しい菜穂子。菜穂子は手を握ってとお願いする。応えた上で、片手で仕事をする二郎。二郎は菜穂子の体を思いやり、外でタバコを吸おうとする。それを制止し、「ここで吸ってください」と言う菜穂子。手を握ったままで、片方の手で喫煙をし始める二郎。このシーン、たしかに違和感はありました。「うわ、吸っちゃったよ」と思いました。正直。でも次の瞬間、これがこの2人にとっては愛のかたちなんだろうと感じるわけです。「こうなったらこうすべきだ」とか「男はこんなときに女に対してこうすべきだ」とか「女は男に対して…」みたいな話ってナンセンスだと思うんですよね。

明日死ぬとしたら、生き方が変るんですか?
あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?
                ――チェ・ゲバラ

二郎と菜穂子は、あくまで彼らの世界を精一杯生きようとしていて、お互いを非難することなく尊重しあう。そんな愛の形、実現できているカップルがこの日本中に何組くらいあるのでしょうか。ジブリ作品に「生きろ」とか言われるのって個人的にはひどく嘔吐感をもよおしたりするのですが、上記のような内容があった上で、キャッチコピーが「いざ生きめやも」だったのかなとも思います。

本作、別にもう1度見たいとは思いません。少なくとも1人で見たり、友人と見たりということは無いと思います。しかし、いつか本当に大切な人と観てみたい気がかすかにする映画ではありました。という意味ではオススメな映画ということになるのかな。




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